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「うおりゃ」
焔は、おもむろに鉄拳を作り、祈に向かって殴りかかった。
祈は顎を狙った焔の拳を右腕を掲げて受けると、慣れた動作で空手の「回し受け」を行い、逆に焔の右手首を掴み、そのまま円心運動で「脇固め」のようにして焔を掌握した。
明らかに、体系的に戦う技術を修めている人間の動きだった。
「ててっ。やっぱり祈さんも『街アカリ』なんだ」
「フフッ。殺気が出過ぎ。あと、狙ってるところをガン視し過ぎ」
「強い側の人だよ」
「それはちょっと違う」
祈は焔を解放すると。
「僕はオールマイティーの代役だから、ある程度何でもできるだけさ。戦うことに関しては、ユーミには遠く及ばない」
「あいつはやっぱり凄いんだ」
「戦闘に関してはね。でも逆に、ユーミが苦手なこともある。前に出した小説同人誌ね。エロシーンだけユーミの代わりに僕が書いたんだ」
「今は、エロの話はイイよ」
「なんか、心が乱れてるよ。お兄さんに話してごらん」
祈は焔の首に腕を回して、グッと引き寄せた。
「祈さん。スキンシップ激しいよ」
「可愛いもんでしょ。ナユカなら、いきなり性的関係をせまってる」
「そんなヤツいないだろ。だからエロの話はイイって」
ぶっきらぼうな態度で、首に回された手を外す。
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