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第5節「ヒーローがいなくなった世界で」
夕刻。悠未がもう一度焔君に会う必要があると言うので、灯理は仮設住宅地区より少し沿岸部に向かう途中にある公園を訪れた。
SNSのアカウントも交換してないような仲だったけれど、こっちに行けば会える気がした。
伝え聞く所によると、携帯も普及してなかったこの国の隆盛期やその黄昏時は、それで案外会えちゃっていたそうで。
灯理の周囲だけは、そんなアバウトさゆえの余裕に未だ包まれているのを感じさせる。
一方で、そんな中だからこそ磨かれている直感のようなものを、今でも彼女は持ち続けている。
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