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第4節「ある過去の物語とその続き」
悠未が、焔君の「先生」の住居はどこなんだとすぐに尋ねてきた時、灯理は飾らない彼の素の温かさのようなものを感じた。
焔君が「先生」と呼んでいた両義さんは、三十代くらいの女性で、こちらとも灯理は少し面識があった。
仮設住宅で私塾を開いている人で、その場は焔君のように既存の学校制度からはあぶれた若人の、教育の受け皿になっている。
「たぶん『莱童物語』の続編の件です」
灯理が率直に焔君が陥っている危機について伝えると、両義さんはポツポツと語り始めた。
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