秋のサナギ

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 性的な事以外でも、雄太は頭の回転が良く話が面白い。くだらないうわさ話もしないし、誰かの悪口も言わない。なにより、家庭教師として、彼は有能だった。 「美人は三日で飽きる、なんて言うけど、全然だよ。全然飽きない」  折に触れて雄太が言う。うっとりとした目で栄貴の顔を見つめてくる。  一方的に好かれ、奉仕される。そのことに優越感を覚えずにはいられない。このままでもいいか、と思わないでもない。早く飽きてくれ、なんて願いは、薄れている。  ふたりで食堂の定食を食べていると、ふと、人の気配がした。  顔を上げると、野暮ったい黒縁眼鏡をかけた男がテーブルの脇に立っていた。 「ここ、座っていいかな?」  おずおずと彼が聞いてくる。背が低く、寝癖のついた頭。ぱっとしない奴だ。 「いいよ。遠慮するなよ」  栄貴が答える前に、雄太が快諾する。 「誰?」  雄太に尋ねると、「サークルが同じなんだ。真壁っていう」とすぐに答えてくれた。  ほっとしたように笑って、真壁が雄太の隣に座った。 「最近集まりサボってるでしょ。今日は来なよ」  真壁が顎を上げて、しっかり雄太の顔を見た。にこっと笑う。大好きで仕方ない、という風に。  ――なに考えてるんだ。真壁がホモだっていうのか。  自分の思考回路がおかしくなっている。雄太とそういう関係になっているせいだろうか。     
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