序章 プロローグ

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こうして、僕と女神の冒険が幕を開けたのだ。それから数時間後、僕らは今森の中に居る、狼(ワーウルフ)でも出たらどうするのか、怖じ気付く僕に対して彼女は平然と行く手を阻むゴブリンやらを杖で撲殺している。最早、チート能力が必要だったのか否か分からなくなった。 と思っていると、女神様が突拍子にも無く声を張り上げ、僕の背に隠れてしまう。何事かと思い恐る恐る見ると、茂みの中に蠢くぷるぷるとした生き物がただ震えていた。明らかに、ただのスライムだ、特に強敵でも無さそうに思えるが。 『ひいっ、いやあぁあ。来るな、魔物。その外見だけで無理だから!』 プルプルッ 別に毒がある訳でも無い、しかし頑なにもスライムを嫌う彼女は半泣きしている。そこで、魔法能力で敵の詳細を出してみると驚くべき事実を知った。 『スライム、翼人の天敵。人間さえも溶解液で溶かす、ウツボカズラ並の毒がある』 「えっ、序盤からやばい感じなんだけど。これ勝てんのか、おい。女神様!」 『……飛べなくなっちゃうから、だから。空に避難するし、別に怖くないんだからね!』 ツンデレ属性なのか、そんな言葉さえ理解出来る今の僕はある意味凡人なのかも知れない。恍惚とスライムを観察し、時間操作能力で仕方無くそれを木の棒で突っつき池に落とした。 溺れ沈むスライム、中々に酷い有り様である。そんな様子を安堵しながら女神様は地上に舞い降りると、僕はすかさず翼に触れる、そしてもふもふしてみた。途端に羞恥する彼女を見上げ、悪戯に笑った。僕としては、何だか安心するのだが少女は赤面している。 『もうっ、グラビティ(重力変換)』 「時間操作リターン(逆手)」 『えっ、きゃあっ!』 ボチャンッ 文字通り逆手にとり、女神様は池に落ちる、僕に与えられた能力は彼女を上回るらしい。因みに重力変換をかけられたら、当然重味に耐えきれなくなるのだ、その為彼女は地面から陥没した。その真下には丁度水溜まりがあったらしく、まだ池が続いていた模様。 『うぅっ、えぐっ。ひぐ、月人のばかぁ……』 「わざととしか思えない……」 スライムが、偶然にも彼女の足に絡み付いていた、蛸みたいに足があるそれは触手か何かなのだろうか。分類するなら蛸スライムと名付けよう、等と考えていた所でついに女神様は下級魔物相手に怒りを浸透させる。 『散りなさい、デスウィンド(死ノ風)』
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