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『和歌山大学前、ふじと台です。』 聞き慣れたアナウンス。滑り込んでくる急行列車。 私は、速度を落としていく車体の窓を見つめてみる。 「・・・気合入れちゃって。」 自分で自分を茶化してみたら、何だか笑えてきた。 今から彼氏とデートとか、そういうのじゃない。 大学の軽音サークルの仲間と、学外のライブを覗くだけ。 一緒に行くメンバーに、好きな人がいるだけ。 それだけなのだ。
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