0人が本棚に入れています
本棚に追加
待ち合わせはなんば駅。
うちのサークルで、南海電鉄を使うのは私と先輩だけ。
皆よりほんの少し早く先輩に会えるだけ、ほんの少しの間2人っきりになれるってだけで、私はサークルには履いていかないようなひらひらのスカートを履き、髪型を念入りにセットして、あらゆる角度から顔を眺め倒してメイクを施したのだ。
気合入れちゃって。
乗り込んですぐの席に座り、もう一度口の中で茶化してみる。
たかがサークルメンバーとのお出かけで、身支度に3時間かけるってどうなのよ。
心の中の私がむくれながら言う。
可愛いって思われたいんだもん。
反論の余地なし。それはもう仕方ない。思われたいんだもん。
カバンから手鏡を取り出し、目元、口元、チーク、前髪、思いつくところをすべて確認したところで、車両はトンネルに突っ込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!