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『次は、岸和田、岸和田です。』
やっと、やっとだ。
胸が跳ねた。
次に開く扉の向こうには、先輩がいる。
何気ない風を必死に装い、「3号車にいます。」とメッセージを飛ばして、今日何度目かわからない鏡とのにらめっこを始める。
マスカラ、取れてない。余計なところについてない。OK。
チーク、濃すぎない、薄すぎない。OK。
リップ、まだツヤツヤ。OK。
大丈夫、前を向け。
鏡を閉じコスメポーチに突っ込んで、私は背筋を伸ばす。
今日の私は、いつもより少し可愛いはずだ。
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