第1章 不思議な子供達

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平べったい大地の奥に連なる初冠雪の日高山脈を眺めていたら、 西から東に向けて猛烈な風が吹き始めた。 まだ家に帰らない息子を探して、 俺は小さなジャケットとマフラーを握りしめながら自宅周辺を歩き回る。 名前を叫んだところで風がさらってしまうから、どうしたものかと頭を抱えた。 日が完全に沈めばあっという間に暗くなる。 低気圧が近付いている影響で、どんよりとした雲が空を覆い始めているし、 氷の匂いが混じった北風の気配に寒気を覚えた途端に(あられ)が降り始めた。 まるでビデオの早送りみたいに変化する空模様に焦りながら、 駆け足で近所の公園まで行ってみたがあいつはどこにもいなかった。 空き家や資材置き場を回り、 国道まで出るとこの町に唯一ひとつのコンビニの看板が煌々と光っていた。 群青色の夕闇が包み込む風景は、もう肉眼だけじゃ何も見えない。 ポケットのスマホを取り出してコールした。 『もしもし?』 愛する妻の呑気な声色に一瞬だけ癒される。 「燿馬(ようま)はもう帰ったか?」 『ううん・・・まだ。あの子、どこ行っちゃったのかしら・・・』 これで心配しているのか?と突っ込みいれたくなるような、のんのんとした声色だ。
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