第1章 不思議な子供達

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俺の妻は10歳若い。 性格は一言では言い表せないほどに不思議な子だ。 彼女との出会いは、俺が18歳の時。火事で両親と実家を同時に失くしてショック状態な俺に天使が舞い降りた。厳冬の夜、お互いに出会わなければ凍え死ぬ運命だった。 冬の匂いを感じながら、最愛の妻・夏鈴の声に励まされた俺は気合を入れ直した。 「燿馬が帰ったら、すぐに電話くれよ!?」 『わかってる!』 可愛い声で、良い返事。 だけど油断してはいけない。夏鈴は天然キャラだ。ちょっとどころか、圧倒的に何かが足りない・・・。 緊急事態なのに、どうしてあんなに落ち着いていられるのか理解できない。 正直、俺はもう限界が見えてきている。 燿馬はしょっちゅう自由奔放に消えてしまう。 小学一年生になって、午後2時頃に帰宅した途端にもう姿が見えない。 真っ黒けになって帰ってきて、どこに行ったのか聞いてもろくな返事もしてくれない。 目を見れば、何を考えているのか見当はつくが、最近あいつは俺と目を合わせてくれなくなってきた。昨夜はいつもの読み聞かせてきた物語を途中で「いらない」と言って、とっとと寝落ちしやがった。 そもそも、あいつが読み聞かせろっていうから始めた習慣なのに。 今朝、食事の態度が悪いって注意したらムスッとして余計に無口になった。7歳のくせに生意気な態度で、俺に指図するなオーラを出していた。 ・・・そんなあいつは俺そっくりだ。自分を見ているようで、時々背筋が寒くなる・・・。
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