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しかし、お父様は知っておられましたか?ネガティブな思念が淀むことにより、強い能力が備わることを。ご存知なかったのでしょうね。可南子は、密かに姉と会って、姉は不憫な可南子にいろんな自分の玩具や書物を差し入れていたのですよ。可南子は、土蔵に居ながらにして、それらの書物を読み漁り、外の世界を知りました。
学校に行くことも許されず、日がな一日、土蔵の中で暮していれば、その書物もすぐに読み終わってしまう。可南子は、土蔵の中を探り、ついに古文書を見つけたのです。そこには、蟲毒による、呪術のことがつらつらとしたためてあり、いつしか可南子はその古文書の通りに、呪術を試みることに没頭しはじめたのです。
土蔵の中には、材料はたくさんありましたよ。這う気持ちの悪い虫なら毎日のように目にしていましたから。その毒虫やカエルなどを、壷の中に入れ、封をし、可南子は生き残ったものだけを、残し、また別の日にその生き残った虫と他の虫を一緒にして、最強の毒虫だけを残して行きました。
お父様、そろそろお気づきですか?あの日、可南子が行方不明になったと、お父様に告げた日のことを覚えておられますか?お父様は、たいそう驚いた顔をされましたよね。それはそうですもの。可南子のことは、この世から葬ったはず。よもや、可南子の存在を娘が知るはずが無いとお思いになっておられたでしょうから。
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