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お姉さまは、本当にお優しい方でしたわ。自分の妹が、まさかそんなことを考えているとは、夢にも思わなかったでしょうね。自分が、この土蔵に閉じ込められることになったのは、自分達が双子だったからだと。それなら、何故、姉ではなく自分が犠牲にならなければならなかったのかと。結論に至ったことは、双子でなければよかった。つまり、一人消えれば、自分はここから解放されるのだと。
可南子は、それに気付いた日から、最高の毒虫を作り出すことに専念し始めたのです。勝ち残った蟲は神霊となるのです。そして、時は来ました。心優しい姉は、しばしば家人の目を盗んで可南子に会いに行きました。可南子は、自分の作り出した最高の毒虫に姉を差し出したのです。つまり、私が勝ち残ったというわけ。
あら、お父様、どうかなさいまして?ずいぶんとお顔の色が悪いようですが。ウフフ。
土蔵には、長持がたくさんあったので助かりましたわ。桐の良い箱が見つかったのですよ。私は土間の土を掘って、箱に収めたお姉さまの上に丁寧にかけて差し上げましたわ。
お父様は、可南子という厄介払いができて清々されたでしょうね。下手な仏心が墓穴を掘ることもありますわ。可南子はお父様が思いもよらず、屈折して育ってしまったのです。あの日、姉になりすまして、可南子が行方不明になったと告げた時の、お父様の顔も面白かったのですが、今もまた違った面白さがありますわ。
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