フライドポテトの味

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 バイト禁止の高校に通っている私たちにはお金がなかった。  弘くんと私が学校帰りにいつも寄るのは、堺東駅のマクドナルドやミスタードーナツなどのファーストフード店。  お互いドリンクを頼み、後はフライドポテトを1つだけやドーナツ1つだけを注文して2人で分けて食べるのが恒例になっていた。  そんなささやかなデートでも、付き合い始めてまだ1ヶ月も経たない弘くんと一緒にいられるのは楽しかった。  ある日、マクドナルドで。なんとなく長めに切られたポテトを見つけて、私が口に入れた瞬間。 「あ! それ、俺が食べようと思ってたのに!」  弘くんにそう言われた。 「え!? ごめん!」  慌てる私に弘くんは、 「嘘だよ~」  と笑った。  そういうのが私はできない。なんでも真面目に受け止めてしまう。とっさに気の利いた言葉なんて言えない。  それが友達の多い弘くんと友達の少ない私の違いでもある気がする。    フライドポテトは最後の一本。  また、俺が食べようと思ったのにと言われても困るので。 「弘くん、食べていいよ」 「じゃあ、半分こしよう」  弘くんは小さなフライドポテトを半分に折って私にくれた。
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