In My Time of Dying

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模試の結果を見せたとき 緊張してた凛の肩から、ふっと力が抜けた。 「……何、安心してんだよ」 冗談半分で絡んだ俺の言葉に、 凛が弾かれたように顔を上げる。 その瞬間、自分でも意外なくらいショックを受けてた。 久しぶりに見た。 目頭にぎゅっと力を入れて俺を見る、凛の顔。 嘘つくときの凛の癖。 「安心なんか、してません……」 黒目がちな瞳が、泣きそうに潤んでて 必死だった。 やばい。受験生あるある。 情緒不安。ギザギザハート。 「嘘つくなよ」 吐き捨てるように言って図書室を出た俺を、 凛が追いかけて来るのが気配でわかる。 いろんな感情が渦巻きすぎて 今帰らないとあとで後悔するようなこと やらかしそうで 俺は無視して玄関を出た。 「待って蒼さん」 必死に追いかけてくる凛の顔が、 ヘルメットをかぶろうとする俺のすぐそばまで近付く。 「応援してるの、ほんとに。嘘じゃないから」 凛の声が、 俺の腕に触れるように近づいた手が、震えてた。 わかってる。 どれだけ凛が俺の背中を押してくれてるか いつも寝不足な俺を、どれだけ心配してるか 模試の順位が上がるたびに、どれだけ喜んでるか でもそんな気持ちも曇らすほど 俺んちに来るのが嫌だったのかよ。 俺が勝手に提案して、強引に押し切って決めた約束 。 だから凛がこんな反応するのは当然なのに。 苛々して、感情がコントロールできねぇ。
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