In My Time of Dying

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「来いって。今日は親父もいないし。 そんな警戒しなくても もう限界にチャレンジしたりしねーよ。 100回くらいはキスするけど」 凛の肩が震えた。 恥ずかしさに耐えられないとでも言うように 首をねじって、顔をそらす。 「心臓に悪いこと言わないで……」 消え入りそうな声でつぶやいて 無防備にさらした首筋を赤く染める。 「こっち見ろよ」 じゃないとその美味そうな首に噛みつきたくなる。 俺のよこしまな心を読んだのか、 凛は素直に俺を見上げた。 でも目が合った瞬間、うろたえたように唇を結んで 今度はさっきとは反対方向に首をねじる。 あっち向いてホイかよ。 「蒼さん、ここだと図書室から丸見えだから」 「なにが」 「だって今……」 困ったように言う。 ばれたか。隙あらばキスしようと狙ってたのが。 「俺、そんなにわかりやすい?」 「顔に書いてあるから、いつも」 「なんて? 今すぐキスしたいって?」 「……鏡でも見て確認してください」 からかわれてるとでも思ったのか 凛が恥ずかしそうに、素っ気なく言う。 鏡で自分の間抜けヅラ見ても、そんな気分にならねーし。 お前だからだよ。 「やってみろよ。どんな顔か」 耳に顔を寄せて囁くと、華奢な肩がますます小さく縮こまる。 今すぐ俺にキスしたいって顔、してみろよ。 なんでいつも、殴られるの覚悟するみたいな顔で 目閉じるんだよ。
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