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小さなため息は、今まで生きてきて、どの時よりも幸せなため息だと感じて凜乃はぼんやりと戻ってきた店員と宗次郎を交互に見つめていた。
婚約指輪の予約をすると、宗次郎は本屋に行き結婚予定の恋人が読む雑誌を買い込むとさっさと帰ろうと車よりもタクシーを呼んだ。
タクシーの中で凜乃の手をぎゅっと握ると、不意に顔を覗かれ聞かれた。
「俺で良かったか?」
「うん。私は、宗次郎くん以外には考えられない。小さい頃から片思いしていたし、憧れだったから」
「そうか。もっと早く傍に居ればよかった」
より一層手を握られて凜乃は宗次郎に微笑みかけた。
「私も、同じことを思ってた。宗次郎くんを探せば良かった」
「……」
不意に宗次郎の頬が赤らみ、顔を逸らさられる。
「凜乃。そう言う言葉は家に帰ってからにしてくれ」
「宗次郎くんだって。言ってるじゃないっ」
「俺は……そういう言葉に慣れない」
凜乃は思わず吹き出すが、宗次郎は笑われたことで耳朶まで耳を染めた。
「……凜乃……」
低い声と鋭い視線が、じっとりと睨んでいる。
しまった思った時には遅く、そしてマンションに到着してしまった。
そそくさと会計を済ますと、凜乃はそのまま抱き上げられてエントランスホールを抜け、エレベーターを昇る。
「離して。こんなことしなくてもっ」
「俺がどれだけ恥ずかしいか、凜乃も思い知るといい」
ふんと顔を逸らすと最上階で止まりそのまま部屋に入ってしまう。
そしてベッドに降ろされると、凜乃が着ていた服はすぐに剥ぎ取られてしまう。
露わになる柔らかい丘にキスが落とされると、凜乃はすぐに甘い声を上げた。
突起を舐られ、舌先で転がされるとたまらないとばかりに身を捩る。
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