エピローグ

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 ***  半年後。  宗次郎と凜乃の結婚式は都内のホテルで盛大に行われた。  といっても、国内で一回。  海外でハネムーンを含めてふたりきりで更にもう一回と、豪華な予定が組まれている。  国内の結婚式が相模家の人や会社関係へのお披露目が目的なら、海外の結婚式は、宗次郎とふたりきりの甘い甘い時間の為の挙式だ。  この日までに、宗次郎は新規プロジェクトを起動に乗せた。  自治会長が宗次郎の提案を受け入れ、そして宗次郎の母とも別れたのだ。  宗次郎も出来る限り尽くすと書面に残し、約束した。  土地開発に起こりがちな反対運動も沈静化し、宗次郎に反発していた内部の人間も影を潜めた。  その功績と凜乃との結婚が重なるようにおめでたいことで、披露宴では会社関係の人間から、凜乃は散々「綺麗だ」「可愛い」「知的だ」だのと褒め通しだった。  披露宴はホテルの一番大きなバンケットルームを使い行われたが、それでも人が入りきらないからと、立食パーティー方式で行われた。  凜乃と宗次郎は席について終始笑顔でその様子を見ていたが、あまりの人の多さに凜乃は終盤では疲れて宗次郎に弱音を吐いていた。  そして、結婚式が一番盛り上がるブーケトス。  最近では嫌がる人もいる中、凜乃と宗次郎の幸せにあやかりたいと、女性が群がった。  しかも、その中には敏子もいる。  年齢的にも一際目立つ敏子だったが、凜乃は幸せになって欲しいと敏子めがけてブーケを投げた。  すると、ブーケを手にしたのは敏子だった。
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