第3章 灼熱の地獄

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  「いい加減起きないと遅刻するわよ。 もう7時回ったわよ。」 実母が家事をしながら声をかける。 妻が起き出す気配がした。 只野は布団に潜ったままだ。 『なぁに? 親に起こしてもらってるの?』 「違う!」 『子供の面倒もみれないなんて、本当役立たずね。』 「違う!!」 『お荷物さん。』 「違う!!!」 只野は布団の中で否定し続ける。 子供たちを送り出した妻は只野の様子が気になり、布団を揺すった。 「どうしたの? 大丈夫?」 しかし只野は布団にくるまり、小さな声で 「違う!」 を連呼していた。
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