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「さ、薬を飲もう。」
妻が薬とコップを差し出した。
「ダメ、見られてる。」
只野はなおも怯えている。
「誰も見てないわよ。
薬を飲むだけじゃない。
何を怖がることがあるの?」
実母が諭す。
「だって、薬を飲んだら……。」
「大丈夫。
考え過ぎよ。」
実母は只野の背中をさする手を休めない。
「さ、薬飲もう。」
妻が只野に薬を渡す。
只野は周りを警戒している。
「ほら、薬。
飲んで。」
実母が只野の手にある薬を指し示す。
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