第3章 灼熱の地獄

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  只野は薬を飲むと布団にくるまった。 『アハハハハ。』 『ウフフフフフ。』 只野の耳にはあざ笑う声がこびりついて離れない。 「違う! 違う!! 違う!!!」 只野は高熱の中、呪文のように繰り返すのだった。 「どうしちゃったの?」 妻が呟く。 しかし返事は 「違う!」 の一点張り。 妻は今日の子供たちのお迎えの為に体を休めることにした。 只野は薬のせいか、はたまた昨夜一睡も出来なかったせいか? 浅い眠りについていた。 『アハハハハ。』 『ウフフフフフ。』 「違う!」 あざ笑う声は耳を塞いだくらいでは防げない。 只野の心はひたすら叫び続けた。
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