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目の前は一瞬とてつもなく眩しい光にさいなまれ、その眩しさに目が慣れたのかスッと浮かび 上がるようにその光景は突如として姿を現した。
目の前に広がったのはこの家には無かったはずの屋上だった。
建物が白いせいか余計に光を反射させているので目が慣れたとはいえ、なかなか見づらいものだった。
そして、僕は喉をゴクリと一度鳴らし、恐る恐る足を踏み入れた。暑い日差しが自身をジリジリと照らしてくる。
屋上に出た時再度理解したのは海と空だけに色があるということだった。僕は落ちない程度の距離の位置に立ち、ふと目を瞑る。風にのって香る潮の香り、波打つ音、それと共に海辺で鳴くカモメの声、ジリジリと照らす太陽、そのどれもがなんとも心地よくここにきて初めてよかったと感じた。
少しだけそのままで居ると後ろの方から自分に向けられた声に気付いた。
「君は誰?」
振り返るとそこには、どこか見覚えのある少年がいた。けれど、どこで見かけたのか彼が誰なのか僕には思い出せないでいた。
「君こそ誰なの?どこかで会った事あるのかな?」
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