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ふわりと香るいつものシーツの匂いの中、覆いかぶさってきた男に驚き、操は腕に力を入れる。決して貧弱ではない体が暴れても、相手の体は動くことなく、操の体にまたがった。よく見れば随分と長身で、185センチは優に超えていそうだ。体格のよい体におさえられ、抵抗した腕もシーツへと縫い付けられていく。
「っ、この、狐!やめろ!」
「狐じゃない。ミタマだ。先程も名乗っただろう。いい加減そちらで呼べ」
「っ……」
誰が呼ぶものかと唇を噛むと、ため息をついたミタマは近くにあったネクタイを手にとり、操の腕を一つにまとめあげた。そうして、壁際に手を押し付けられたまま……肌を辿られる。
「んあっ!」
「ふむ……まだ残っているのか?加減を間違えたか……こら。暴れるな」
抵抗しようにも力が入らず。体の中の熱がうずいていく。意識を集中させると、腹の中をずるずると何かが蠢くような……下腹部の熱に肌面がなびいた。
「やっ……ぁ……っ」
「ちっ……食いそびれがまだあるな。奥まで入ってる」
「!?」
焦っていて気付かなかった、といったミタマは操の腕をおさえたまま、体を割りいれる。その長い指先が黒のカットソーをめくりあげて操の胸のあたりをなぞった。
「や、め……っんんっ!」
ずず、と肌の中に指先がはいるような感覚。嘘だ、と思いつつも、そこから先ほども見た黒い霞が僅かに抜かれていく。
「……だめだな。奥までいった。……開くぞ」
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