三国志島介の志編(180年代

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 だって逃げ出すんだよな、お尋ね者とか? うーん、ピンと来ない。 「袁紹殿は中央職である司隷校尉を解かれ、恐らくは渤海太守に任命されるでしょう。かの地が勢力圏という理由で御座います」 「なるほどな、すると曹操は?」 「西園軍は解体され、驍騎校尉も有名無実となるでしょう」  実質お咎めなし、ただし実権もなしか。放置しておけばそのうち消え去る、無害ならば好きにさせておけというわけだ。 「中央の空いた官職は、董卓の支持者に割り振られるわけか。さて俺はどうなるやら」  自嘲気味に想像もつかないといっておく。もし俺が董卓の立場なら、兵権がない中央の官職に縛り付けるぞ。 「董卓の言に反対をせず、大人しく降るならば相応の役目を与えられるものが大半でしょう。ですが我が君は、羽長官の志を継ぐ者として扱われるはずです」 「ふむ。特別扱いは嫌いじゃないぞ。たとえそれが目の敵というやつでもな」  あらゆる手段で以て俺を潰しにくるわけか、まあそうだろうさ。俺は劉協が皇帝になるのを邪魔するつもりはない、反董卓連合軍とやらが成って、長安に遷都した後に機会が巡ってくるはずだ、動くならそこだな。 「内宮の廷官でも任じられるのではないでしょうか」 「そいつはどういうものだ?」 「正右監、民の訴状を裁く部署であります。廷尉の丞とも」  そいつは裁判官だな、何の権限もあったものではないぞ。廷尉の尉は武官の意味合いではない、大体にして法律で裁くだけの知識が俺には無い。だからこその職だともいえるか。
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