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「くそ、野郎どもあいつが大将に違いない、やっちまえ!」
顔も知らない相手ではあるが、まあこちらを見抜いたのは褒めてやろう。賊が群がってこようとするが、州軍がそれを防いでくれている。
「雑魚が吠えるなよ! 島介が相手だ、いざ勝負!」
馬上槍を振り回して賊を掻く分けていくと、大斧を持った体格が良い賊の胸を一撃で貫く。馬上から肩を蹴って槍を引き抜くと賊を睨み付ける。
「黄巾賊を全て打ち倒せ!」
「うおぉぉ!」
州軍の士気が上がるとわっと前進を始める、一方で賊は背を向けて逃げ出した。宿営地を荒していると、新南城の門が開いて、三百程の歩兵が打って出て来る。
「増援が来たぞ! 賊を蹴散らせ!」
挟み撃ちになり黄巾賊が戦意を失って散り散りに逃げ去っていく。典偉はどこだ! あいつの旗を探させると、ずっと東の方に少数で行ってしまったと聞く。
「行くぞ、続け!」
多くを説明する必要はない、俺に続けとだけ命じて行きたいところへ走っていく。歩兵は息が上がっても必死になって馬足についてくるだけ。少し乱れた場所を進むと、千程の輪に囲まれている賊を追いかけているのが見えて来た。
歩兵で歩兵を追いかけてもラチがあかんぞ! 伏兵も無ければ騎馬隊もないからな。
「仕方ない、集合の銅鑼を鳴らせ」
ドドーンドドーンドドーン。
戦場に音が響き渡ると、各級指揮官が兵を集めて伯単位で本陣へと集まって来る。戦場には死体と呻き声をあげて転がる敵味方の姿が見えるのみ。
「我等は目的を果たした、勝鬨を上げろ!」
「うおぉぉ!」
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