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城の城壁に上がって来た奴らがこちらに手を振っている、これでいいんだ。
「文聘、負傷者を新南へ運び込み治療を行え、大至急だ」
「承知!」
「張遼、賊を集めて止めを刺しておけ。物資は全て没収するぞ」
「御意」
これも戦場の習わしだ、負ければこちらが身ぐるみはがされるからな。新南軍を率いていた指揮官がやって来て下馬すると一礼する。謝意を述べて城で休んでいくようにと言ってくれた。県令とも会って欲しいとも。
まあ必要なことなんだろうなこれは。
「典偉、補給部隊を城へ入れるんだ。今晩は城内で休み、明日帰還するぞ」
「おうわかった親分!」
順当と言えば順当な結果だ、兵の経験になったのは大いなるプラスだな。
◇
西陵に戻ってきたは良いが、徐刺史からの使者が発した言葉が受け入れられない奴らが居た。目の前の三人だ。
「なにゆえ島殿があのような仕打ちを受けねばならんのだ!」
「徐刺史はいかにお考えだとうか」
張遼と文聘は腹を立てて徐刺史を悪し様に言う、典偉は酒を飲んで酔っ払っていた。何があったのかというと、武猛従事の職を解かれて、州軍を全て引き揚げられた。理由は、命令も無く勝手に軍を動かした罪だ。新南の賊を撃退した功績で罪は問わぬが、職は解くものとするって感じだったな。
兵符は預かっていたんだから、運用の自由はあったはずだ。だが側近の諷礼とやらが俺のことを弾劾したらしい。何者かは全く知らんが。
「そも、討伐の令は受け取ったのだから問題になるほうがおかしいではありませんか」
「戦う前には長距離行軍演習をしていただけ、確かに道理に適っている」
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