三国志島介の志編(180年代

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 語気も荒く不満を繰り返す。十代で自制も効かない頃だ、言いたければ押さえつけるよりもそうさせたほうが良いかもな。それからも小一時間は不満を吐き出し続け、ついに「島殿はどうなのですか!」と張遼に迫られる。 「そうだな、もし俺が刺史なら、部下の働きを褒めてやるさ」  何せ自分で判断して上手い事やったんだ、それにこしたことはない。失敗したとしても次は上手くやれと放免だが。 「なれば! 職を解き、兵を取り上げたことを何とも思わないのですか!」  意外だな、張遼の奴は実は結構突っ掛かるタイプだったのか。一緒に居たわけではないから知らなかったが、ソリが合わない武将とも何とか付き合っていたって感じで評価を聞いたことがあったのにな。成長したらってことか。 「それでも県の統治の仕事はそのままだ、別にいいじゃないか。やるべきことは幾らでもある、違うか?」  少しだけ年齢が上の設定だが、その実かなりの人生経験差があるんだよ。怒るとは言わん、すきなだけ騒いでいい、だがすべきことを見失ってはくれるなよ。 「親分は妙に歳より臭いことをいう時がある。だってのに俺よりも殴り合いが強いし、文聘よりも住民に懐かれてるし、張遼よりも兵の扱いが上手い。俺達は十年後に今の親分みたいになれてるのか?」  典偉の漏らした言葉に、二人が肩を落としてしまう。俺は知ってるよ、多分なれてるぞ? むしろ俺を越えているはずだ。 「なるようになるさ。それよりだ、諷礼というのがどんな奴かは知らんか?」  肩をすくめて終わったことを嘆くのを止めにさせる。こちらとしても武猛従事なんて職位よりも、諷礼の方が気になるんだよ。
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