三国志島介の志編(180年代

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「それですが荊州東曹掾諷礼は、南郡の出で徐刺史が着任した時からの配下のようです」 「ん、東曹っていうと……」  なんだったっけか、事務方の呼び方だった気がするが。全部軍師、主簿に投げていたからさっぱりだ。 「州の人事関係の文官です。事務もそうですが、任免の助言を行う役目」 「なら仕事の一環で出る杭を打っただけかも知れんな。人となりを調べるだけはさせるとするか。だが一件はこれでしまいだ、今日はいいが明日からはまた普通に働くんだ」  三人をそれぞれ見てやり、へそを曲げるのも終わりにするようにと釘をさす。 「気に入りはしないが、当の島殿がその様子なのにいつまでも騒いでいるのもいけませんか」  諦めた張遼が大きくため息をつく。そうだよ、こんなものはいざ戦になればどうとでもなる。今は実務の経験を積むことで成長してくれ。 「そういえば発注していた武具はどうなった」  ふと思い出す。出兵には間に合わなかったが、その間にある程度は揃ったんじゃないか。 「武装百ですが倉に納めることが出来ます。支払いは秋の税収を待ってからになりますが、早めますか?」  後払いは官公庁の常だ、それでも構わんらしいが出来れば支払いと同時にしたい。いつ転任させられてしまうかわからないからな、後任が知らんと言ったらそれまでではむご過ぎる。何せ官が一方的な力を持っているんだよ、この国と時代では。 「いや秋口で構わん。一大事あれば直ぐに取りに行くことになるだろうが、それにしたって半日あれば足りる。最初の約束通りにするんだ」 「畏まりました」
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