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「やめぬか! 名だたる武将らは先の増援で、その全てが死傷してしまった。我が府には兵を預けられる者がおらん」
あの東曹も西曹も物凄い嫌そうな顔をしているが、口出しが出来ないってことは誰も居ないってのも本当そうだな。足を引っ張る位はしてきそうだ。
「黄巾賊など寄せ集めの烏合の衆。張何某とやらを退ければ四散するのは明白。先の新南県では州兵二千で、そいつが率いる五千を蹴散らしました。ものの数ではありません」
「島守県令、それは聞き捨てならぬ。張曼成が在陣していたなど報告に上がっていないぞ」
こいつは西曹の習範だったな、賄賂を渡さないからと俺を牢獄に送った借りは返させて貰うぞ。
「意気地なく逃げた奴のことなど、わざわざ報告するまでもないからな。そう言えば、西陵の秋祭りでもそんな奴がいたな」
キッと睨んでやると、目を細めて睨み返して来る。側近は選んだ方が良いぞ。
「口ではどうとでも言える。軍資金を持ち逃げでもするのではないか?」
今度は諷礼か、こいつらは奸臣というやつだな。地元の有力者らしいから、仕方なく席次を与えているのかも知れん。何せ身一つで赴任させられて、あとは上手くやれというのが漢の方針らしい。そんなのでは出来るものも出来なくなる。
「出来なければ俺の首を持って行けばいい。だが……ことがなった暁には、貴様等の首をもらい受けるぞ!」
何とも返事が出来ずに黙りこくってしまう二人、勝負あったと徐刺史が判断を下す。
「島介を荊州別部司馬とし、甲卒五千を預ける。南陽の民を助けてもらえるだろうか?」
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