三国志島介の志編(180年代

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 うーん、そういえばどうして俺は自分自身が平気だと思い込んでいたんだ? 不思議なものだな、董卓なんかに負けはしないって信じているんだな。思えば司馬懿あたりとガチでやり合っていた時と比べたら、大したことはないと感じているんだよ。 「なに、これも経験の一つさ。折角だ、酒の一杯でも飲んでいかんか、おごるぞ」 「島殿は大物になるよ。悪いが遠慮しておく、戻って皆に報せなければならんからな」 「そうか? そいつは残念だ。それじゃ一人で休んでいくよ」  店主に酒と饅頭を注文して平気な顔で窓から外を眺める。曹操が小さく頭を左右に振って出て行った。始まるな、明日までに逃げたい奴は逃げればいいってことだ、洛陽にいるからと安心は出来んがね。  昼間から一杯ひっかけて屋敷に戻って来た俺を、荀彧が出迎えてくれた。もう色々と聞いているって顔だな。 「なるようになった」 「まずはお部屋へ」  警備兵が厳重警戒している屋敷の、更に奥まった場所へと入っていく。ここなら外に会話が漏れ聞こえないわけか。 「董卓が退位をさせる旨を宣言したとのこと」 「ああそうだ。反対した陳逸というのが呂布に切られた」  知っているだろうがね。重要なのはその先だ。 「袁紹と曹操は随分な顔をしてたよ、一瞬だがな」 「お二人ならばきっと一両日中に洛陽を抜け出されるでしょう。兵も居るでしょうから東の関所を真っすぐ抜けられるとみております」  同感だな。あいつらは今後の主軸になるんだ、この程度ではビクともしないさ。 「だろうな。ところでそう言うのはどんな扱いになるんだ?」
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