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俺の兵だって冷や汗を垂らして立ち尽くすやつが居ても文句は言えんぞ、宮仕えや文官では俯いたって当たり前だ。ましてやそんなのが権力まで握っているんだ、反目しようとしないのが自然だろ。
「ふふ、そういう島殿はここに居る。憂国の士は存在する、そう思っても?」
変な期待をされるのは迷惑でしかないぞ。俺はそんな立派な人物じゃないんだよ、どうなるのか見てみたいだけでここにいるのさ。
「さあどうでしょう。そういった評価は自分でするものではないと信じていますので。しかし、近衛五校尉は私しか居ないようで」
「おやご存知ない。後将軍になった袁術殿は官を移り、他の近衛校尉は官を辞しました。今残っているのは歩兵校尉のみ。羽林兵は光禄勲が統括し、左右の丞らが半数ずつ指揮を執っている。五官中郎将らも空席ばかり、これでは機能不全を起こすのは明白」
減った席次を埋めないうちは敵にも味方にもならない待機兵力になる、そうなれば外から兵力を持ってきた董卓が比例で有利に、か。誰かを任命したり解任したりは摩擦があったとしても、空席をそのままにしておくのは董卓の責任じゃないからな。やはりあいつは悪知恵が回る、これも賈翅が助言しているんだろうか?
「それではさぞかし目の上のこぶと思われているでしょう。忖度するつもりは全くありませんけどね」
ふっ、と笑って盧植は他の者と話をしに行ってしまう。本当に大きいな、何をくったらこの時代であそこまで体が出来るんだよ。うーん、少し身にまとう雰囲気が違う奴が居るな。
「なあ荀彧、あの柱の傍の男は知っているか?」
「あれは……李儒殿でしょう、中散大夫で御座います」
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