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「李儒だって!? なんであいつがここにきているんだ、董卓派の筆頭じゃなかったのか」
賈翅と李儒は董卓の左右の軍師って感じだろ、その敵にあたる皇太后の宮に呼び出しを受けて応じるなんてスパイ? いや、それ以前に門前払いをされて当然か。
「我が君、李儒殿はやや暫く前より中央で仕えられている廷臣で御座います。どこでそのようなお話を?」
「そうなのか?」
俺の記憶違いか? それとも同姓同名の別人? 漫画の作り話の類? よくわからん、だがただ者ではないのは感じられるぞ。こういう時は直に話してみるのが一番だろう。
「行くぞ」
返事を待たずに真っすぐに李儒のところへと歩いていくとこちらに気づく。初対面だ、注意をしているな。拳礼をし名乗りを上げる。
「歩兵校尉島介です」
「お初にお目にかかる、私は中散大夫李儒と申します」
これといった敵意や悪意は感じられんな? 俺とどっこい中年一歩手前、この時代なら三十代は中年かも知れんが、やはり四十歳が節目だろうと思ってるんだよ。
「人違いだと失礼になるので一つ確認を。李儒殿と同姓同名の方が宮廷に居られたりはありませんか?」
何せ姓名のバリエーションが少ないんだ、幾らでも同じだってやつはいる。文字で書けばまだはっきりもするが、発音だけではそれこそ類似の山だぞ。
「私が知る所では居りませんが、属吏の隅まで把握しているわけでもありませんので」
そりゃそうだ。だが董卓の傍仕えなら知らんことも無かろうから、俺の知ってる李儒はこいつなんだろうな。
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