3380人が本棚に入れています
本棚に追加
盆から取ったのは印璽、いくつかの地域の侯印か。官職についているよりも実益が大きい、これならば従うものだっているだろうさ。一歩進み出る奴がいる、誰だ?
「都船令栄信で御座います。船上であれば司空の護衛も少数、視察を行うことになればそこで」
「ふむ、都船令の案を実行出来る者は無いか」
董卓のスケジュールに影響を与えられるやつってことだよな。もうひとり進み出るやつがいる、李儒だぞ。
「それでしたら、江の行幸を上奏してはいかがでありましょうか。尚書殿もこの場にあり、陛下の元へ声が届くものかと」
「盧植か。どうだ」
「職務でありますれば、上奏あらばそれをとり継がせて頂きます」
これは盧植のやつあまり乗り気ではないな。つまらん謀略への加担はしたくないだろうし、仕方あるまい。俺だってごめん被るよ。こんなのじゃ董卓に指摘してくれと言わんばかりの行動だしな。
ざわついている場、にわかに沸き立つ衆人、そして目を細めている皇太后か。そういえば何進らを見事に抑えていたのはこいつだったな、立場ガラそう出来ていたのかと思っていたが、どうやら能力があったらしい。
「賛同される方は前へお進みくださいませ」
宦官が甲高い声で誘いをかけると、栄信を始めとして半数以上が歩みを進める。ほぅ、そういうことか。
「中散大夫殿、何故後ろに?」
のこのこと進み出た男が、後ろに残っている李儒の姿をみて首を傾げている。それに対して李儒は言葉を発さない。盧植も腕を組んでその場に残っている。武装した衛兵が現れて衆人を囲んだ。
「皇太后陛下、これは!」
最初のコメントを投稿しよう!