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「ああっ、軍船が!」
「なに!」
親衛兵が声を上げて指さす先を見る、櫂を動かして水上を滑るように軍船が動いている。
次いで南蛮兵が一杯になり撤退していくのが見え、河沿で『曹』旗を振っているのが目に入る。
ついに歩兵が目の前にまでやって来ると、河に沿って横に広がり布陣した。
「魏が討逆将軍文聘ここに見参! 俺が相手だ!」
「クソッ取り逃がしたか!」
何をしているんだ俺は!
……ここで泥沼の戦いを強いる必要は無い。速やかに撤退だ。
「軍鼓手、撤退合図だ。全軍、南牟城にまで退くぞ。王将軍にも伝令を出しておけ」
これは俺の失策だ。これだけの差ならば指揮次第で勝てたはずだ、くそ!
だが一つ節目を乗り越えた、不満はあるが何もかも上手く行くと考えるほうが問題ありか。
丸々一日休息して、二日後に長安へと戻る。戦場掃除をしている友軍を脇に見て、東門から入城する時に董丞と長安の民に出迎えられるのだった。
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