三国志蜀の中原制覇編(220年代

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「地図はあるか?」 「用意いたします」  毛皮に墨で掛かれた地図。中国のシルエットを思い浮かべ、左下あたりにあたるらしいのを確認した。 「蜀の領域がここで、東が呉、北が魏でございます」 「南や西は?」 「西は遥か先に大月氏、南は未開の南蛮でして」  南蛮か、どうなんだろうな。地図では随分と近くに感じられるが、山あり谷ありで苦労するはずだ。  図上では指で計れるような距離でも、歩いていけば数か月か。 「南蛮の民は居ないか?」 「府内に数名が」 「会うことは?」 「ご所望とあらば」 「では手配してくれ」  いうだけで何でもこなしてくれる、ありがたくて涙が出るよ。  願いは翌日に叶えられた。四人が並んでいる。皆がそうなのか、顔つきは似ていた。 「具芭苑が南蛮のものです」 「他は?」 「通訳でして。間に三人入らねば言葉が通じません」 「参ったな!」  そんなに間に挟むと正確さに欠けるぞ。最悪全く違う内容になって来る。  伝言ゲームというのと同じで、受け取り側と発信する側で解釈がずれていくものだ。 「具芭苑に南蛮の概要を説明させるんだ」  端から順に隣に話しかけて行く。全く言葉が理解できない。
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