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北の異民族、孔明先生が懐柔したというのと同族だろうか? ここで接触を試みれば、来る戦で警戒されて織り込まれてしまう。
様子を見る為に一日城に滞在する。斥候が戻って来たと声を掛けられたので、李項と共に赫親子の幕に入る。
「島将軍、北東に蛮族の一団が見つかりました」
「やはり何か居たか。規模の程は」
「凡そ一万。こちらの侵入に感付いた頃でしょう」
縄張りに踏み込んできた者が居たらどうするか、簡単だ、そいつらを排除する。全滅させて死体から全てをはぎ取る位はするだろうな。
「この城では支えきれんぞ」
防備が整っていれば三倍、堅城と名高い城なら五倍を凌げる。暮らしを捨てて補給を度外視した要塞ならば、十倍を跳ねのけることも出来るかも知れない。
「守ることが出来ないなら攻めるのみ。こちらから乗り込んで、首領を切り伏せれば大人しくするでしょう」
「攻め込むか!」
さすが赫将軍だ、わざわざ来るのを待っている必要はないからな!
地理不案内、多勢に無勢、負傷者を多数抱え、糧食は残り僅か。こんな最悪の条件でも心を強く持ち、士気を失わないのは間違いなく赫将軍の人となりだな。
無い物ねだりとは言え、隠し持っている奴もいるはずだ。
「李項、携行している銀銭を代価に、住民から糧食を集めろ。奪い取るような真似はするな、毒を混ぜられるぞ」
「御意」
売り渡したいと思わせることが肝要だ。少量ずつ毒見をさせて、全て確認した後に収容するように詳細を付け加える。
「二日分位は出て来るだろう。赫将軍、短期戦で全てを整合させるぞ」
「敵将と一騎打ちで」
「本陣への突破口は俺が作る。勝利はその手で奪い取るんだ」
「前進か死か。己の生きざまを見届けて貰いたい」
命がけ、その覚悟を受け二人が声を合わせて代城を出撃したのは翌朝一番だった。
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