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すると列の後ろから随分と若く線が細い男が進み出た。文官を絵にかいたような優男。
「某が郤正、雲南書曹で御座います」
まだ子供じゃないか、いや栄養不良で身体が小さいのか?
「なぜ主簿が獄に落とされたかを述べてみよ」
どういう人物か試しに聞いてみるとしよう。僻地に飛ばされたのか、或いは志願したものか。
「班主簿は三つの罪を犯されました。一つは決定事項への不服従、一つは代案なき批判、一つは己が態度への無責任でございます」
慈悲を乞うのも罪ときたか。だが自身の意があったなら、胸を張って獄に降るくらいはするだろうな。
「ならばお前ならどうする」
「我と一旒の旗さえあれば、将軍のお望みを叶えてみせましょう」
堂々と考えを述べるな、若いのに感心なことだ。並み居るやつらも声をあげんとは、案山子がいくらいても役にたたん。
「郤正を使者に任じる、好きな旗を持っていけ」
「お言葉通りに」
ゆったりと礼をすると慌てず急がずに出て行く。大物とまでは言わんが、品行方正な役割を与えれば満足いくだろうな。南蛮に来たのはそのあたりに自身の適性があると知ってのことか?
残る案山子は単純作業要員だな、ま、仕方あるまい。
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