三国志蜀の中原制覇編(220年代

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◇  翌日、謁見の間に郤正と蘭智意がやってきた。幕に居並ぶ者たちが嫌そうな顔をする。 「蘭智意ただ今参上致しました! 高征慮将軍は、三郡を上げて島将軍の指揮下に加わります!」  臣下の礼にも見えるような態度で宣言する。なに一つ駆け引きが無い、平身低頭、いっそ気持ちがよくなるくらいのすっきりした言動。 「蘭智意奮威将軍、ご苦労だ。今一度南蛮州をまとめることにした」 「南蛮州牧復任のお祝い申し上げます。なんなりとお申し付けください」  この場で誰よりも階級が高いのがこいつだ、相応に報いてやらねばならんな。 「うむ、頼むぞ。奮威将軍は最前列へ」 「ははっ!」  中央に敷いてある絨毯から、武官列の先頭へと居場所を移す。全く存在感が違うな!  もう一人残っている男へ視線を戻すと、何が良いかを思案した。 「郤正、良くぞ任務を遂行した」 「お言葉ありがたく」  そつない返事で腰を折る。書曹は二十石だったな、食うに困りはしないだろうがこいつを手元に置くとしよう。
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