三国志蜀の中原制覇編(220年代

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 やってきたのは赤い軍旗を腰に指した伝令。 「申し上げます! 中県城に『島』の牙門旗が翻りました!」 「そうか」  銚華、無事でいてくれよ。これで城は士気を失い崩壊することも暫くはあるまい。不足するのは生鮮食品だが、船で水壕を行く準備が出来て後のことだ。  李信からも殆どの県が下ったと報告があった、李封の方は連絡がないな。 「李右督からの報はどうか」 「ございません!」  ふむ、何か手こずっているのかも知れんな。確かめておくとするか。 「様子を見てこい、伝令百騎で居場所をいちはやく見付けよ」 「御意!」  数騎で長躯させてはいかん、見落としが出るだけでなく賊に襲われる危険が高い。馬泥棒がいくらでも居る、それに当座の金も持っているからな、良い的だ。  妙に落ち着かない、こんな時は異常が起こると昔から決まっている。  手にしている報告書を机に置いて外を眺めた。蜀は益州に比べれば太陽の姿のハッキリしていることこのうえない。 「蘭智意を呼べ」  隣の部屋に控えている小間使いに命じて、城に居るはずの蘭智意を呼び寄せる。何かが起こるならば話をする必要が出て来る。
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