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「蜀全土で軍備増強が行われているようです」
それはそれで困る、軍備を増やせば国が疲弊する。国力を増してついてくる軍事力とは違うぞ。
「民の負担があがるな」
「既に各地で追加の徴税が行われ、貧農は食うことも出来ずなことに」
あの愚か者が! 限られた資源を有効に使う為に政府はあるんだぞ!
やはり時間をかけすぎるわけにはいかんな。いち早く南蛮をまとめ上げて、成都へ向かわねば。
◇
伝令騎兵を放って数日、東部より駆け戻るものがいた。赤い旗を翻し、城門を越え市街地を騎馬のまま走る。市内で騎乗が許されているのは一部の高官と伝令のみ。
玉座のような大きく、装飾が施された椅子に腰かけてやって来るのを待つ。すぐに兵が走って来る。
「伝令! 島将軍に申し上げます。李右督は霊平県を除きすべてを下しました!」
「そうか。ではもうすぐだな」
李信より時間が掛かったのは些細な違いでしかない。これで南蛮州は統治が行き届く。
霊平というと東の端だったか、道も細く交州との際だ。
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