三国志蜀の中原制覇編(220年代

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 轡をならべて細い道を行き山を越える。盆地にこじんまりとした県城が見えた。  兵力は千を少し出るくらいか。『霊』『蜀』『羅』の軍旗がなびいているな、結構なことだ。  目を細めて黙って騎馬をゆっくりと進める。後続を片手で制して留め置き、少数で。  陸司馬が兵から『南蛮』の軍旗を受け取り従う。隣には李封。城門手前まで行くと高くも無い城壁を見上げる。  雑兵が多数、住民に武装させただけの軍だ。一人の若者が出てきてこちらを見下ろす。 「あれが城主の羅憲です」  おっと老人かと思ったが若僧だったか。少し面白くなってきたぞ。 「何度来られようと返事は変わらぬぞ、李別部司馬よ!」  ほう、騎兵団を目にしても怖気づかずか。 「俺は使持節右将軍右都督領南蛮牧島中侯だ。名乗れ!」  これで官職を省いているんだから長いよな。城兵が動揺しているのがわかる。 「それがしは蜀の霊平県長羅憲、州刺史が交代したとは聞き及んではいない」  ふむ、こいつは頑固だぞ。もう少しひととなりを知りたい。
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