三国志蜀の中原制覇編(220年代

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 こいつは本当だぞ、そこらの同年代より頭一つも二つも抜きん出ている。  ひとりずつしっかりと瞳を覗き込み、真剣に言っているのを伝えようとした。 「考えが至らんのは経験の差でしかない。俺がお前らの歳の頃は、全くだった」  苦笑いして首を横に振る。実際に誰かの下で言われたことを守るので精一杯だったさ。 「ですが十年、二十年後に将軍の考えに至るとは想像出来ません」  黄崇が肩をすぼめて下を向く。こいつは勘違いをしているぞ、新入りでは仕方ないか。 「小僧が気落ちをするな。俺は既に軍に染まり永年経つ、積んできた時間を見誤るな」  少し大げさに言ってやる、参軍らがどれほどかと思いを巡らせた。先輩である李封が二人に説明を加える。 「ご領主様は、諸葛丞相の幼少時、予章は梅県城でご縁をもたれた。その頃、既に佐司馬として防衛部隊の指揮を執っておられる」 「じょ、丞相の幼少時というと、四十余年と!」  参軍らが驚きで一杯だ。そりゃそうだろうさ、十五歳で隊長だったとしても俺が老人の計算だからな。  人生五十年、六十歳までいけば長老様の仲間入りだよ。一応今、六十五歳って推定年齢になっているわけだ。実際は三十代後半にしか見えんだろうがね。 「不老長命を授かっている、だからといって仙人ではない。お前達と何一つ変わりはせん、腹も減れば、眠くもなるし死にもする。良いかこの俺が認める、胸を張り前を向け!」 「ははっ!」  一つ仕置きを終えて雲南へ帰還すると次なる報せが舞い込んでくるのであった。
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