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数時間、状況も解らずその場で身を寄せて戦い続けた。太陽が暗闇を打ち払う、薄暗い夜明け、道に転がる多数の魏兵。あたりを見ても蜀の軍旗が林立し、完全に包囲されていた。
絶望を知り、互いに目を合わせると矛を捨てて道に座り込む。
「勝鬨を上げろ!」
蜀の兵士が喜びの声をあげた、民兵も初勝利で大興奮する。もしかしたら戦えるのではないかと思ってくれたら充分だな。
寝不足だがここでもう一泊とも行かんだろう。
「捕虜は武装解除して嘩萌関に送れ。漢中へ向かうぞ」
せめて飯だけは食わせてから兵を進める。一晩位ならば寝起きはなかなか頭がはっきりしなくても、一度覚醒してしまえば眠気は無い。
自分の体験からこのくらいならば平気だと断定してしまう。大体にして将軍が同じように起きて動いているのだ、若者が弱音を吐くことなど出来ようはずがない。
曲がりくねった山道を北上、やがて城が見えて来る。城外は魏軍が緩く包囲していて、南側も魏軍が駐屯していた。
ふむ、これでは補給も受けられんな。あれは蹴散らして、城外陣地を一つ作っておくべきだ。
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