三国志蜀の中原制覇編(220年代

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「中央から軍は来ない。手持ちの軍勢で全てを行う必要がある」  何としてでも蜀の存在を知らしめねば。だが今は直ぐに動くことが出来ん。歯がゆい思いが強い、見えているのに届かないもどかしさ。 「島右将軍、漢中は持ちこたえてみせますゆえ、どうか国をお救い下さい」  小さくせき込みながら頭を垂れて願う。すがる相手が間違っているとは言わんが、それは首都次第だ。だが俺を頼るやつを見捨てはせん。 「嘩萌関に防衛兵力を少しだが寄せた、ここを抜けられても多少はせき止めることができるはずだ」  城だけを守るならば何とかなる、負担を減らして心労を取り除けたら幸いだ。傍らで黙って立っている羅憲が中空を見詰める。 「この漢中、住民を動員して二か月ならば魏軍を防げます。漢中軍をお使いください、鎮東殿はもっとお困りのはずです」  動員兵だけで守り切れる程戦争は甘くないだろうな。だがここで籠っていても勝てはしない、ならば前に進むのみだ。 「漢中軍の代わりに南蛮からの民兵団を防衛に残していく。二か月以内に必ず増援を率いて戻る、それまで蜀の国門である漢中を守ってほしい」
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