三国志蜀の中原制覇編(220年代

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 趙雲のやつは押されているな、何とも珍しい光景だ。負傷者が多いのは否めん、自力で生き残ってもらうしかない。  しかし早い、もう目の前にやってきたか。  馬蹄を響かせて騎兵団が攻撃を仕掛けて来る。先頭を行くのは白髭をぶらさげた老人、あれが張遼か。 「我こそは張文遠なり! 蜀が総大将、島将軍の首級をもらい受ける!」  騎射を行い本陣の防御を確かめて来る、木に薄い鉄板を張り付けた盾を翳して矢を防ぐ。抜けてきた数十の矢に当たり運悪く命を落とす者が居る。  接近して来る騎兵団をじっと待っているだけで反撃の号令が出ない、意気地なく籠っているとみたか、それとも何か罠があるとみているか。いずれ敵を過小評価することはないだろうな。  第二陣が騎射しながら牙門付近にまで接近してくる。 「親衛隊、撃て!」  陸司馬の号令で盾を構えていた者達が一斉に盾を横にして視界を開く。するとしゃがんで待っていた親衛隊が弩を放つ。そのまま撃ち終わったものを後ろに渡して、装填済みの弩を手にして都合三回の斉射を二十秒で行った。
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