三国志蜀の中原制覇編(220年代

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◇  魏の軍備が解かれるまで実に三か月、その間は厳戒態勢を解かずに長安に陣取り目を光らせていた。南東の五塞設置も進めている、これが為れば一安心だと良いが。それにいつまでも登城しないわけにもいくまい。  雍州一帯の防衛を鐙将軍に一任し、時を合わせて各地の主将が成都にと参集する。この隙を衝かれたら非常に厳しいが、軍は興す準備というのが必要だ。急報があれば騎馬で緊急帰還すればどうということはない。  日頃の備えがあれば、という注釈付きだ。今回は動員した兵力を四人に一人残している、警戒防衛ならば充分だろう。  ふむ、しかし派手な格好だ。姿見に映る己の身なりに小さな溜息をついた。儀礼は必要なことだが、これはどうなんだろうな。まあ今さらか。 「ご領主様、式典の準備が整っております」 「解った。陸司馬、お前にとっても晴れ舞台になるぞ」  一礼して多くを語らない陸司馬。俺に引っ張られてこうも大身になったのをどう思っているやら。昔から全く変わらない、良いか悪いかは別にしていつものことだ。  部屋を出ると武将らが控えていた。呂凱を筆頭にして俺を支え続けてくれたやつらがこちらを見ている。一人一人と目を合わせて後に歩みを進める。
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