三国志蜀の中原制覇編(220年代

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 皇帝に代わって丞相が「頭をあげて起立せよ」表情を作らずに平らな声で促す。  立ち上がると視線を孔明に向けた。まさかこんな日が来るとは思っていなかっただろう、俺が転がり込んできた時はお友達人事の一つでしかなかったからな。 「魏との戦、大儀であった。これより論功行賞をするゆえ呼ばれた者は応えよ」  平素は官職の異動の都合から、上から下っていくが今回は違った。一律の恩賞を受ける官らを走りに、特定の功績をあげた者らを先に賞していった。ささやかな働きも言葉にされ、呼ばれた者は忠誠が満たされるかのような感覚を得る。  上奏した内容が全て受け入れられ、李項らの昇進が認められる。望んだ号が与えられ、一部の者には官爵が付与された。一大勢力を築き上げた俺を妬ましく見つめる視線が背中に刺さっているのが解るよ。 「ここにはおらぬが鐙芝を仮節右将軍都督雍州都亭侯に任じる」  姜維を右将軍の後任にしてやりたかったが、流石に一度にそうすると軋轢が酷いだろうと思ってね。征東将軍ってことにしたさ、こいつが居れば侵攻戦で役に立つ。鐙芝は北部の主将だ、やつなら能力も経験も充分だ。
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