三国志蜀の中原制覇編(220年代

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 孔明先生も羽扇を引き寄せ礼をした。言葉を耳にした姜維がその場で両膝をついて、両手を前に出して合わせる。頭を下げて先輩にあたる諸官に拝礼した。 「ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します!」  青年官らが皆そのように拝礼すると、旧来の諸官が心を打たれたのか表情を冷静にし返礼する。自分こそがと思っていた者も、これからは未来をいかにしてつくるかを意識してくれたら幸いだよ。  すると今度はこちらに向き直り、姜維が口を開く。 「我等若年諸官、命を懸けて国家を支える所存であります。何なりとお命じ下さい!」  じっと姜維を見詰めて頷いてやる。解散して各自の居場所に戻るのを待ち、孔明に向き直る。 「魏で起きている一大事、皇帝の崩御だろうと見ていますが、丞相の見立てでは?」  不確実な噂ではない、ここで敢えて口にするのは皆に緊張感を持ってもらう為だ。戦勝で浮かれている場合ではないと引き締めておく必要があるからな。 「うむ。後継者争いになっておるだろう。ならばこの混乱に乗じて動きを加速させる」
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