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「ではそうしよう。引き続き長吏もこなすように」
島の権限を代理して全体の指示を見るよりも、一つ下で自由に命令を執行出来る立場を選んだ。どちらにしても護忠将軍の属を受けているのは名称ではっきりしている。
そこからまた数日、小競り合いを仕掛けてくることもなくなってしまった。それどころでは無いのだろう。呉長吏の間諜が色々と噂を炊きつけて行く。
「高定は蜀に寝返った」
「擁鎧は高定を信用していない」
要約するとこの二つだ。離間を図った、二度も兵士を解放した事実が裏づけとして囁かれているが、高定はまったくの慮外、しかし噂を信じたい者がいるのもまた事実であった。
暗夜行軍する、出元は城だ。野営している擁鎧の本陣を夜襲した。部下の多くが蜀軍に対して戦う意思を示さなくなり、擁鎧から疑いの目を向けられてしまいついにはそうせざるを得なくなった。高定は情報戦に敗れたのだ。
まさかの奇襲で擁軍はあっという間に蹴散らされてしまう。朝になって高定が陣前に現れる、隣には蘭智意の姿もあった。
「越峻太守の高定だ。島護忠将軍に面会を求めたい!」
一部の者のみ門を潜る事を許すと、擁鎧の首を手にして高定が降って来た。
「お初にお目にかかる。某、蜀の越峻太守・高定でございます」
「お前がそうか。何を心変わりしてやっきたんだ」
ほいほい許していては切が無いからな。一仕事してもらわねば困るぞ。
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