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◇
永昌郡で兵を募ると、五千が新たに加わる。不足した物資を軍から郡へ分け与えたのが、民の耳へ届いたらしい。馬将軍から軍需物資を無闇に減らさないようにと、苦言を向けられてしまった。
「馬将軍の言は野戦指揮官として正しい」
「されば何故でしょうか」
「私は野戦指揮官であると共に、南蛮征服を命じられた身だ。こうすべきだと判断したからした、不満か?」
相手の考えを認め、それでいて自らの決断を変えない。かつての仲間あたりならば笑って従うが、馬将軍は無理矢理に納得した感じが見えた。
まだ信頼の絆が見える程ではない、これは俺の問題だ。
「承知いたしました」
「彼らは」言葉を区切り一つ呼吸をし「首都から遠く離れた地で、命を賭して、全てを懸けて国を、民を守り通した。私はそれを称賛したい、認めてやりたい。そう思い報いた、それだけだ」
「御意」
馬将軍が退出する。彼にはまた先行して雲南入をするよう命じた。手勢に一万を加えてやる。
彼は正しい、俺も間違いとは思ってはいない。現実はどちらも求めていないのかも知れんがね。
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