三国志蜀の中原制覇編(220年代

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◇  今頃魏の本陣に報告が駆けこんでいるだろうな。ということは孔明先生の陣への総攻撃もし辛かろう、知らねば始めていただろう攻撃を遅れさせることが出来るのをこちらの有利にせねばならんぞ。  ふと見上げる、月は今の時代も変わらないものだ。 「兄弟、どうした酒が足らんぞ?」  盃片手に上機嫌の孟獲が、手が動いていないのを指摘してきた。気持ちよく飲みたいが、深酒する前に考えをまとめたくてね。  孟獲の側の机にばかり空の瓶が転がっている。どれだけ飲んでも酔わない位強いらしい。 「飲んでるよ。長安のあたりは北荻からの別種麦の酒があるそうだ」  北の蛮族、あいつらはどうするつもりだ。確か相乗りして魏を攻めるって話もあったが、急すぎて準備が出来てない可能性があるな。  魏は国境線が広い、万里の長城というのが役に立っているのは後世の者が知っているが、この時代の者達は身に染みてそれをよーく知っている。  乗り越える為には壁の一部を破壊するしかない。難しいことではないが、手間はかかる。 「ほうそれは楽しみだ。だが、そろそろ俺の兵も寒さで動きが鈍って来る」  防寒着を与えてはいるが、季節が進み、寒冷地での生活で体調を崩しているやつらが出て来ていた。
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